雨天の高速道路で発生した多重事故

事故の概要
 平日の昼間、Aさんは乗用車で高速道路を走行していた。強い雨が降っていたが、Aさんは追い越し車線を時速90㎞以上の速度で走行していた。Aさんの前を走っていたBさんの乗用車が、前方になにかを発見して減速したが、Aさんは前車の減速に気づくのが遅れた。前車に接近し過ぎたのに気づいて、Aさんは急ブレーキとハンドル操作で衝突を回避しようとしたが、停止できずに乗用車に追突した。Aさんの乗用車が停止したところ、Aさんの後方を走行していた車両も次々に追突した。この事故は、7台の車両が衝突する多重事故となった。

 

事故の原因
 Aさんが、前方の様子を十分に注意していなかったことが事故の原因である。事故当時は強い雨が降っており、見通しが悪く、路面も滑りやすくなっていた。また、事故が発生した場所は、緩やかな下り勾配となっていた。このような状況では、安全に減速、あるいは停止できるまでの距離が長くなることから、速度を落とすなどして走行すべきであるが、Aさんには危険な状況であるとの認識がなかった。もっとも、認識不足であったのは、後続車両の運転者も同じであった。このため、停止できずに多重事故となったと考えられる。

 

この事故から学ぶこと
 天候不良などの悪条件下においても、通常の場合と変わらない速度と車間距離で走行するなど、無警戒で運転している人も多いようである。とくに、雨の日の下り勾配の道路では、停止距離が長くなるだけでなく、急なハンドル操作をするとスリップしやすい。このような場所では、速度を落として、前方の様子を十分に警戒しながら走行すべきである。道路を通行する人は、天候等の環境に合わせて安全な行動をすべきである。

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